Guangsheng He et al.
Department of Haematology, The First Affiliate Hospital of Nanjing Medical University, Jiangsu Province Hospital, Nanjing, China
PNHと再生不良性貧血(aplastic anemia, AA)は共に骨髄不全の範疇にあり共通点も多い。特に臨床的PNHがAAの経過中に発症してくる例があることについては多くの報告例がある。しかし、それらの報告はATGを含めた強力な免疫抑制療法(immunosuppression therapy, IST)を施行された重症AA(severe AA, SAA)を対象としたものがほとんどで、CsA単独療法を施行された非重症AA(non severe AA, NSAA)を対象としたものは皆無である。そこで、ATG / CsA 療法を施行されたSAAとCsA単独療法を施行されたNSAAの2群におけるIST後のPNH型血球の出現(emerge)割合とその後の推移、IST奏功率との関連を比較検討した。
2008年~2012年に登録された174名の中国人AA患者を対象とした。SAAは53名、年齢は10-65歳(中央値39歳)、男性33名、女性20名であった。NSAAは121名、年齢は19-70歳(中央値36歳)、男性64名、女性57名であった。年齢、性別に群間格差は見られなかった。フローサイトメトリー法によるPNH型血球検査を治療直後とそれぞれの観察期間(18-76ヶ月、中央値22ヶ月)定期的に施行した。用いたフローサイトメトリー法は、2008-2009年までは抗CD55抗体と抗CD59抗体を用いたtwo-color法、2010年からは赤血球については抗CD59抗体を用いたsingle-color法、顆粒球についてはFLAER/CD24/CD15/CD45によるmulti-color法であった。
AA患者におけるPNH型血球とISTの関係を検討した中国(南京)からの報告である。
Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI)が推奨するプロトコールを用いているものの、PNH型血球の感度に関するコメントがない、実際のフローサイトメトリーの結果が全く提示されていない、IST前にPNH型血球をしていないので治療後に新たに出現したのか治療前から存在していたのか分からない、少数例にもかかわらずPNH型血球の平均値を比較している、(観察期間を延ばせばさらに出現する可能性もある)IST後のPNH型血球出現の有無とIST奏功率を比較している等々、研究結果に不安を抱かせる点が多く見られた。しかし、症例数が多いことだけは確かなことだと思われた。
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。