PNHおよび補体介在性疾患の治療において補体C5を標的としたRNAi(ALN-CC5)皮下投与:第I相試験の中間解析
A Subcutaneously Administered Investigational RNAi Therapeutic (ALN-CC5) Targeting Complement C5 for Treatment of PNH and Complement-Mediated Diseases: Interim Phase 1 Study Results
Benny Sorensen, et al.
Clinical Development, Alnylam Pharmaceuticals
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は後天的なPIGA遺伝子変異による骨髄障害で、GP-1アンカー型蛋白が欠損し、補体の活性化を制御できなくなり、溶血が進行する。抗C5モノクローナル抗体であるエクリズマブがPNHおよび非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療に用いられているが、個体間の血中濃度のばらつきが大きく、血中濃度が治療域を下回る患者が存在することが課題で、新たな補体活性化阻害薬が必要とされていた。ALN-CC5はsiRNAをGalNAcに抱合させ、安定化させた化合物で、200mg/mLを皮下に注射すると肝細胞内に効率的に取り込まれる。
ALN-CC5の第I/II相試験では、まず第I相試験として、健康ボランティアを対象に単回漸増投与試験、反復投与試験が行われた。単回漸増投与試験ではALN-CC5用量は50mgから900mgまで漸増し(各群4例[実薬:プラセボに3:1で割り付け]、合計20例)、反復投与試験ではALN-CC5 100mg、200mg、400mgを週ごとに5回投与した(各群4例[実薬:プラセボに3:1で割り付け]、合計12例)。その後、第II相試験として、PNH患者(16例程度)を対象に反復投与試験を実施する予定である。
本試験の主要評価項目はALN-CC5の安全性と忍容性で、副次評価項目および探索的評価項目として、薬物動態、薬力学、C5濃度、補体活性、LDH(第II相)、QOL(第II相)を評価した。補体活性は補体第二経路(CAP)、補体古典的経路(CCP)で測定した。
Reference
1)Seelen MA, et al. J Immunol Methods 2005; 296: 187-198
ALN-CC5はC5に対するsiRNAをGalNAcに抱合させ安定化させた化合物で、皮下投与によりGalNAcのレセプターであるASGPRを介して肝細胞内に特異的に取り込まれ、C5遺伝子を効率的にノックダウンする。本演題は今年のEHAで第I相試験の単回漸増投与試験の成績が公表されており、今回のASHで反復投与試験の成績が追加された。今回の解析においても、忍容性は良好で、重篤な有害事象は認められなかった。また、作用は長期に持続し、月1回~3ヵ月ごとの投与も可能だと考えられた。今後、PNH患者を対象とした第II相試験が予定されており、引き続き副作用については注意深く注視していく必要がある。特筆すべきは、このsiRNA-GalNAc化合物が機能すれば、肝臓由来蛋白を特異的に抑制する系が確立し、他疾患への適応拡大も大いに期待される。
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。