血栓症は、他の溶血性貧血にはないPNH特異的な合併症であり、PNHの主要な死因の一つであると考えられています8-①-②。
PNH患者のうち17%(国内)8-③~40%(海外)8-④に臨床症状を伴う血栓症が認められ、 静脈血栓症や動脈血栓症はPNHに関連した死因の約40~67%を占めます8-④。 血栓症の発症機序についてはまだ十分に解明されていませんが、血管内溶血で発生する遊離Hbが直接あるいはNO吸着作用を介して血栓形成の引き金になり得ると考えられており8-⑤、 また、CD59欠損による血小板活性化8-⑥、線溶系の障害などとの関係性8-⑦も示唆されています。
PNHでよくみられる血栓症の臨床所見として、深部静脈血栓症や肺塞栓症が高率で認められます8-⑧。
Hillmen P, et al. N. Engl. J. Med. 1995; 333:1253-1258. Hillmen P, et al. Blood. 2007; 110:4123-4128. |
初発の血栓イベントは死亡リスクを5~10倍高め8-④、初発の血栓症の発現が生命に関わることがあることがわかっています8-⑨。 血栓イベント発現までの中央値は診断から2.3年であり8-⑩、早期から治療を始めることがなにより重要です。 また、すべてのPNH患者に血栓症のリスクがあると考えられています8-④、⑪、⑫。
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。
8-① Hillmen P,et al. N. Engl. J. Med. 1995;333:1253-1258.
8-② Socié G, et al. Lancet. 1996;348:573-577.
8-③ Kanakura Y, et al. Int. J. Hematol. 2011;93:36-46.
8-④ Hillmen P, et al. Blood. 2007;110:4123-4128.
8-⑤ Hugel B, et al. Blood. 1999;93:3451-3456.
8-⑥ Wiedmer T, et al. Blood. 1993;82:1192-1196.
8-⑦ Ronne E, et al. Br. J. Haematol. 1995;89:576-581.
8-⑧ Nishimura J, et al. Medicine. 2004;83:193-207.
8-⑨ Audebert HJ, et al. J. Neurol. 2005;252:1379-1386.
8-⑩ De Latour. Blood. 2008;112:3099-3106.
8-⑪ Hill A, et al. Br. J. Haematol. 2007;137:181-192.
8-⑫ Bessler M, et al. Blood. 2007;110:Abstract 840.