欧米におけるPNHの発症頻度は100万人あたり15.9人といわれていますが1-①、日本では平成10年度の厚生労働省の調査によると、PNHの推定有病者数は430人(100万人あたり3.6人)と報告されています1-②。 男女比はほぼ1:1で、診断時(初診時)の平均年齢は、日本が45.1歳で米国の32.8歳に対して有意に高く、 診断時年齢分布は、日本では20~60歳代に多くまんべんなく発症するのに対し、米国では10~30歳代にピークを迎え、その後徐々に減少しています(図1)1-③。 米国では再生不良性貧血(aplastic anemia ;AA)の進行とともにPNHを発症する例が青少年期に多いことと、 アジアでは血栓症をはじめとするPNH症状が著明でないために、診断が遅くなる例が多いからではないかと推測されています。
欧米では、PNH患者の35%は診断から5年以内に死亡すると報告されています(図2)2-①。 日本と欧米におけるPNH患者集団の生存率曲線は類似していますが、日本ではPNH患者の約5人に1人が診断されてから10年以内に死亡するとされています2-②。
診断後の平均生存期間は、日本が32.1年と欧米の19.4年に対し長いとされていますが、50%生存期間は日本が25.0年、欧米が23.3年と差はなく、統計学的にも有意差はありませんでした2-②。
2-① Hillmen P, et al. N. Engl. J. Med. 1995;333:1253-1258.
2-② Nishimura J, et al. Medicine. 2004;83:193-207.
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。
1-① Hill A, et al. Blood. 2006;108:985.
1-② 大野良之:「特定疾患治療研究事業未対象疾患の疫学像を把握するための調査研究班」平成11年度研究業績集-最終報告書- 平成12年3月発行(2000年).
1-③ Nishimura J, et al. Medicine. 2004;83:193-207.