再生不良性貧血(AA)患者におけるPNHクローンの存在は免疫抑制療法に対する反応性に影響する
The Presence of a PNH Clone Influences the Kinetics of Response to Immunosuppressive Therapy (IST) in Aplastic Anemia (AA) Patients
Division of Hematology, Leukemia/BMT Program of British Columbia, Vancouver, Canada
再生不良性貧血(AA)では免疫抑制療法(IST)によって患者の65~75%で
2008年1月から2015年10月の間に、IST目的にVancouver General Hospitalを受診した16歳以上のすべてのAA患者を対象とした。医療記録はレトロスペクティブに解析された。骨髄病理はセントラルレビューとし、細胞分裂中期の細胞遺伝学的検査を全例に実施して、クローン異常例を除外した。赤血球、顆粒球、単球のPNHフローサイトメトリーは、FLAER、CD55および/またはCD59を含む抗体パネル法を用いて行った。免疫抑制薬としてシクロスポリン、抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン(ATGAM)、メチルプレドニゾロンを用いた。対象をPNHクローンの有無およびサイズで層別し、ISTへの反応性を比較検討した。統計学的検討はFisher's exact testを用いて行い、群間比較にはMann Whitney U testを用いた。
References
1)Young NS, et al. Blood 2006; 108: 2509-2519
2)Socié G, et al. Semin Hematol 2000; 37: 91-101
3) Sugimori C, et al. Blood 2006; 107: 1308-1314
PNH型血球は、PNHのみならず、再生不良性貧血(AA)、低リスクの骨髄異形成症候群などの骨髄不全症においてもしばしば検出されることが知られている。AAにおいては約50%以上に認められ、今回のEHAで発表した本邦でのOPTIMA Studyの中間解析(P634)でも、AAの52.7%で陽性であった。PNHクローン陽性例に対する免疫抑制療法(IST)の効果は、陰性例に比べて良好とする報告が多いが、特に小児例での報告などではcontroversialであるとするものも散見される。
本研究では、カナダにおけるPNH 55例を対象に、PNHクローンの有無と標準的ISTの効果、及び予後について解析している。IST奏効例の予後は良好であったが、PNHクローンの有無やサイズはISTの奏効率に影響を与えていなかった。また、クローン陽性群では陰性群と比較して、ISTへの反応がより速やかであり、PNHクローンはISTへの反応性に影響すると結論づけている。
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。