PNH発症には、少なくともPIG-A遺伝子の変異と、PNHクローンの拡大が必要です。
PIG-A変異だけではクローン拡大には不十分であり、PNHの発症につながらないことがPNHモデルマウスを用いた研究で明らかになってきています3-①-⑤。
現在考えられるPNHクローンの拡大機序(図2)としては、まず造血幹細胞にPIG-A変異が起こり(ステップ1)、次に免疫細胞の攻撃により造血幹細胞の数が減少し、GPIアンカー欠損細胞はこの攻撃から逃れ相対的に増加する(ステップ2)と考えられています。
しかし、再生不良性貧血(AA)から発症してきたPNHや高度な造血不全を伴うPNHではPNH細胞の割合は30%程度であり、血球の多くがPNHクローンに置き換わる古典的PNH(classic PNH)を説明するにはこれだけでは不十分です。
おそらく、ステップ2で相対的に増加したPNH幹細胞が増殖を繰り返す過程で、良性腫瘍性増殖をきたすような遺伝子の変異がPNHクローンに起こり、このサブクローンが他クローンを圧倒し、最終的に骨髄、末梢血ともにPNH細胞に凌駑されて病態は完成すると考えられています(ステップ3)。
NPO法人「PNH倶楽部」は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者と家族の会です。サポートセンター、医療費助成基金、活動等についての情報が掲載されています。
3-① Kawagoe K, et al. Blood. 1996;87:3600-3606.
3-② Rosti V, et al. J. Clin. Invest. 1997;100:1028-1036.
3-③ Murakami Y, et al. Blood. 1999;94:2963-2970.
3-④ Tremml G, et al. Blood. 1999;94:2945-2954.
3-⑤ Keller P, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1999;96:7479-7483.